65歳以上の高齢者は若年者に比べるとアルコール依存症になりやすいとされています。
なんと、男性アルコール依存症の4人に1人は60歳以上であることがわかっています。
高齢者がアルコール依存症になってしまった場合、その家族はどのようなことをすれば回復することができるのでしょうか?
場合によっては病院に入院したり、施設に入らなければならないこともありますので、高齢アルコール依存症にどのような対応をしていけばよいか参考にしてください。
高齢者はアルコール依存症になるリスクが高い
高齢者はアルコールの影響を受けやすい
若い頃はお酒をいくら飲んでも平気だったという方も、歳をとるごとにお酒に弱くなってきたと感じる方が多いです。
それには、ちゃんとした理由があります。
- アルコールの吸収・分解する機能が落ちるから
- 体の水分量がすくなくなるから
これらの理由により、高齢者はアルコールによる影響を受けやすくなります。
加齢によって肝臓の機能が落ちると、アルコールを分解するスピードが遅くなるのでアルコールの血中濃度が高くなってしまうので酔いやすくなったり、二日酔いになりやすかったりします。
また、体内の水分量の低下すると摂取したアルコールを溶かすもの(水分)の量が減るので血中のアルコール濃度が高くなりやすくなります。少量のお酒でも酔いやすくなります。
若い頃と同じようなペースで、同じ量を飲み続けているとアルコールの影響を受け、健康に害が出る可能性があります。
高齢になると飲酒をするきっかけが増える
高齢になると、仕事を定年退職している方も多く、自分の自由な時間が長くなります。
特に趣味などがなければすることがないので、昼間からお酒を飲むことも多くなるようです。
そのようなことが続くと、社会の中での孤独感を感じたり、退屈したり気持ちがふさいだりします。そういったことがストレスになりまた飲酒をしてしまうという方も少なくありません。
また、歳をとると身体的な問題も出てきて、病気で出歩くのが大変になるとこうした辛さに耐えるためにアルコールに頼りたくなる人もいます。
妻に先立たれてしまった人など一人になると、その寂しさから飲酒を繰り返すようになりアルコール依存症につながる方もいるようです。
はじめは少量だったお酒の量や頻度も、飲酒が日課となり、止めることが難しくなります。
そういったことがきっかけでアルコール依存症になってしまう高齢者がいるのが事実です。
高齢者のアルコール依存症の特徴
アルコール依存症は、お酒の飲み方(飲む量、飲むタイミング、飲む状況)を自分でコントロールできなくなった状態のことをいいます。飲むのはよくないことだとわかっていても、脳に異常が起きて少しでも酒を口にすると自分の意思ではお酒をやめやられない状態になりアルコール依存症になってしまいます。
高齢の方がアルコール依存症になると、身体機能が低下しているので飲酒によって転倒や失禁などの問題が起こる方がいます。
また、認知機能が低下していることにより記憶障害が目立ってきます。
アルコールを多量に摂取し続けると、アルコールの飲み過ぎから脳梗塞といった脳血管障害などが起き、結果として「アルコール性認知症」が発症することも少なくありません。
高齢のアルコール依存症の約4割は認知症の症状も見られるといわれています。
他にも、若年者に比べると高血圧・糖尿病・心疾患を合併することが多くなるのも高齢アルコール依存者の特徴です。
高齢者がアルコール依存症になった時の対応は?
65歳以上の高齢者がアルコール依存症になってしまった場合、一人ではお酒の量を減らしたり、お酒をやめるということはとても難しいです。
このままでは家庭が崩壊し、お酒にお金を使いすぎて破産してしまうことも少なくありません。
アルコール依存症になったら家族や身近な周りの人のサポートがとても大切です。
高齢者がアルコール依存症になった時の対応をまとめました。
まずはかかりつけ医に相談する
アルコールに限らず、依存症は脳の病気で自律神経や精神に影響が出て、意志の力では、コントロールできなくなる「疾患」です。
しかし、およそ100万人いると言われているアルコール依存症の患者さんのうち、実際に治療を受けているのは、4%ほどなんだそうです。
自分自身で克服することはとても難しいです。お酒を減らしたい、断酒をしたいと思っている方は医師に相談するとその方法が明確になると思います。
お酒が飲めなくなる抗酒薬なども処方してもらえるので、医療の助けでお酒をやめていならまずは相談から行ってみて下さい。
かかりつけ医から専門の病院を紹介してもらうのもよいと思いますが、こちらから専門の病院を探すこともできます。
アルコール依存症の相談ができる医療機関/アルコール依存症治療ナビ.jp
お酒やアルコール依存症について情報収集する
アルコール依存症になってしまったら、本人だけでなくその家族もお酒やアルコール依存症について情報を集めると、アルコール依存症の方の気持ちにより添え、お酒をやめるためのヒントが見つかると思います。
お酒は体にどのような影響を及ぼすのか、アルコール依存症のままだとどうなってしまうのかなど本人と一緒にお酒について知ることもとても大切になります。
そこから、アルコール依存症の治療の必要性を理解してもらうと良いでしょう。
最近では、本やブログ、ネットでも様々な情報を得ることができます。
おすすめの本、ブログをご紹介しておきます。
アルコールは「毒」だということが書かれています。
私も読みましたが、お酒を飲むのが嫌になりますよ。
主人は、禁酒して頭痛がするときなどによく読んでいます。
禁酒セラピー 読むだけで絶対やめられる / アレン カー 【新書】
禁酒・断酒のブログはたくさんありますが、中にはポエムのようなものもあるので、禁酒・断酒について詳しく書かれているものは以下のブログですよ。おすすめですので、一度読んでみて下さい。
本人の問題行動に共感し、これからの目標を決める
アルコール依存症になってしまったのには何らかの理由があると思います。
まずはなぜ飲んでしまうのか、お酒がやめられないのか本人の気持ちを理解して共感してあげることでアルコール依存症の方の気持ちは少しは楽になると思います。
気持ちに共感した後に、アルコール依存症でお酒を飲んでしまうのは自分の責任であることを理解させ、今後どのようにしていきたいのかお酒に関して明確に目的を持てるように話をしていくと良いでしょう。
高齢者の場合は、健康維持・増進のために断酒を進める方が受け入れられやすく、本人を傷つけないと言われています
高齢者がアルコール依存症になったら入院は必要?
高齢者がアルコール依存症になった場合、かならずしも入院が必要ではありません。
通院で病院のサポートを受けることができる場合も多いようです。
入院に関しては、専門の医師や病院との話し合いで決めた方が良いでしょう。
しかし、アルコール依存症の方は合併症を引き起こしやすい傾向にあります。
高血圧、糖尿病、心疾患などの病気の治療としてお酒を飲んではいけない状態なのであれば入院をしなければいけないと思います。
家にいると飲酒行動を起こしてしまう、支える家族がいない、病気を併発しているなどの場合は入院を進められることがあります。
身内だけでは、アルコール依存症をやめさせることが出来ないような場合は、病院に入院させた方が家族にとっては負担は少なくなります。
また、認知症を合併しているならなおさら家族は大変です。
サポートする家族がストレスでだめになってしまってはいけませんので、そういった時には入院させることも考えても良いかもしれません。
その代わり退院したあとは、家族のサポートはとても大切です。
再飲酒してしまわないように家族もアルコール依存症について理解を深めていく必要があるでしょう。
まとめ
高齢者はアルコールに弱く、依存症になるリスクが高くなります。
自由な時間をどのように過ごしていくかがとても大切ですので、暇な時間ができて飲酒しないように好きなことを見つけていくことも必要かもしれませんね。
治療は一人では難しいので、家族や病院の支えが必要な場合が多いです。
入院に関しては医師に相談した上で決めると思いますが、サポートする家族の負担が少なくなるので無理せずに利用することも考えてみると良いと思います。
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参考文献