暑くなると心配になるのが「熱中症」です。
特に、高齢者は熱中症になりやすいといわれています。
毎年熱中症で病院に搬送される方が多く、中には死亡される方もいます。
熱中症による死亡者数の大半は65歳以上の高齢者であることもわかっています。
特に、一人暮らしをしている高齢者の方は、自分で生活環境を整えないといけない上に、熱中症になった時に気付いてくれる人が周りにいないので重症化して命に関わる可能性が高いのです。
身近な高齢者の方が熱中症にならないように、原因や対策をしっておきましょう。
高齢者は熱中症になりやすい?どんな症状が起こる?
65歳以上の高齢者の方は熱中症になりやすいといいますが、熱中症になるとどのような症状がおこるのでしょうか?
熱中症とはどんな症状?
熱中症とは、暑い環境で生じる健康障害の総称で主に以下の種類があります。
熱失神:めまい、一時的な失神、顔面蒼白、脈が速くて弱くなる
熱けいれん:足がつる、筋肉痛、筋肉がけいれんする
熱疲労:全身の疲労感、頭痛、嘔吐、判断力の低下
熱射病:体温が高い、ふらつく、意識障害、呼びかけへの反応がにぶい
熱中症は初期症状を見逃さないように!
熱中症になると、特に高齢者や赤ちゃんなどは重症化しやすいとされています。(理由は後ほど)
初期症状が現われた時に、いかに素早く対応するかによってその後の回復も違ってきます。
反対に、重症化しているにそのままの状態でいると命に関わるので熱中症は普段から注意が必要です。
熱中症の初期症状
- めまい
- 立ちくらみ
- 顔のほてり
- 筋肉痛、足のつり
- 大量に汗をかく
↓
熱中症の中期症状
- 倦怠感
- 吐き気
- 頭痛
- 集中力、判断力の低下
↓
熱中症の重症の症状
- 呼びかけに反応しない
- まっすぐ歩けない
- 自分で動けない
重症の症状のように意識障害を引き起こしているがあれば、早急な対応が必要なので、すぐに病院に連れて行きましょう。
高齢者が熱中症になりやすい原因は?
熱中症はどのようにして起こるのでしょうか?
人の体は、体温が上がると汗を出したり皮膚の温度を上げて体の熱を体外へ放出しようとします。(体温調節機能)
通常であれば、そうやって体の体温はさがっていきますが、室温が高かったり、体の水分が少なくなったり何らかの理由によって体内に熱が溜まると熱中症になってしまいます。
高齢者が熱中症になりやすいと言われるのには以下の原因が考えられます。
- 体の水分量が少ない
- 体温調節機能の低下
- 暑さや喉の渇きを感じにくくなる
- エアコンを使わない
体の水分量が少ない
人間の体は歳をとるごとに水分量が少なくなっていきます。
赤ちゃん:80%
成人 :60%
高齢者 :50%
画像引用:http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/272158.html
歳をとると体の水分量が少なくなるのは、心臓の負担が少なくなるように、体が水分を減らしてくれているからです。
体の水分量が少ない分、高齢者の方は水分不足になると体の水分の蓄えが減少し、熱中症になりやすいと考えられています。
体温調節機能の低下
高齢になると、成人に比べると体温調節機能が低下します。
高齢になるにつれて、肝機能が低下したり、筋肉量が低下することで代謝や体の巡りも悪くなります。
そうなると、体液のバランスが崩れていき汗を出すことができなくなり体温調節が難しくなります。
暑さや喉の渇きを感じにくくなる
高齢になると暑さや喉の渇きを自覚しづらくなることが増えます。
皮膚の感覚が鈍くなることで暑さを感じにくくなり、暑さに気付かずに服を着過ぎていたり、暑い部屋で平気で過ごして熱中症になってしまうことがあります。
また、加齢とともに喉の渇きを感じる「口渇中枢」が減少するので、体が水分不足の状態でものどの渇きを感じにくくなるということも分かっています。
体の水分量が少ない上に、水分補給をあまりしない高齢者は熱中症になりやすいのです。
エアコンを使わない
高齢者の中には、エアコンを嫌がりせっかく設置されているのに使用しない方も少なくありません。
昔はエアコンなんてありませんでしたし、窓を開けて扇風機などがあれば夏を過ごすことが出来ていた方も多いようです。
また、「エアコン=ぜいたく」というイメージをもっている高齢者の方もいるようで、部屋が暑いと分かっていてもエアコンを使わない方が熱中症になりやすいようです。
夏でも涼しい日であればエアコンなしでも生活できますが、高齢者の方が無理をして暑い部屋で生活をするということは熱中症のリスクを高めます。
高齢者が熱中症にならないための予防対策は?
高齢者の方が熱中症になりやすいということがお分かりいただけたと思います。
重症化もしやすいので、事前に予防対策をしておく必要がありますよ。
高齢者の熱中症の予防対策のポイント
- 暑さを避ける
- こまめな水分補給
- 免疫力を高める生活習慣
暑さを避け、涼しい環境を整える
体に熱を溜めこまないように、適温の涼しい環境を作ることが大切です。
日差しの強い時や、気温の高い時間帯に外出をするのは避け、暑い日は自宅などの室内で過ごしている方が多いと思いますが、室内であっても暑ければ熱中症になります。
熱中症になりやすい条件
- 高気温
- 高湿度
- 強い日差し
- 風が弱い
- 閉め切られた室内
- エアコンをかけていない部屋
室内で過ごす時には、高齢者自身ではどのくらいの暑さが危険なのか感覚では分かりづらいと思います。
気温・湿度計、熱中症計などを活用し、まわりの環境の危険度を目で見て確認できるようにすると良いでしょう。
危険だと言われる温度・湿度は、
気温25℃以上、湿度80%以上
だと言われています。
最高気温が25度を超えると患者が発生し、30度を超えると熱中症で死亡する人の数が増えはじめると言われています。
気温が低くても、湿度が高いと、汗が蒸発しにくくなり、熱中症への危険が高くなります。
例えば、気温が25度以下でも、湿度が80%以上ある時は注意が必要です。引用:環境省 熱中症予防
こまめな水分補給をする
高齢者の方は喉の渇きを乾きにくくなる方が多いです。
喉が乾いてから水分補給をするのでは、すでに体の水分が不足して脱水症状を起こしてしまう恐れがあります。
また、夜中にトイレに行きたくない、失禁を恐れて水分を控えていたり、病気で水分を制限している人も少なくありません。
いずれの場合でも喉が乾いてから水分補給をするのではなく、自分で時間を決めてこまめに水分補給をするようにすると良いでしょう。
たとえば、
- 朝・昼・晩の食事の前後にコップ1杯ずつ
- お風呂の前後に1杯ずつ
- 寝る前と朝起きたときにも1杯ずつ
といったように、こめまに決めた時に飲むと水分不足を避けることができると思います。
高齢者の場合は、1日に1.2リットルくらいの水分を飲む必要があります。
(ただし、これは最低限の水分量です。)
よく動く日や、汗をたくさんかいた日にはこれより多めに水分を摂る必要があるでしょう。
睡眠と食事を充分にとり、体の免疫力を高める
高齢者の中には、運動機能の低下により夜の睡眠時間が少なくなったり、食欲がなく食事量が少なくなる方もいるようです。
3食食べない方もおり、睡眠・食事が不十分になると体が弱く病気などにもかかりやすくなります。
体の免疫力を高め、元気な体を維持するためには日頃からバランスのとれた食事や睡眠をしっかりとることが大切です。
まとめ
高齢者は熱中症になりやすく、重症化しやすいので、普段からこまめに水分補給をしたり健康的な生活をして丈夫な体を維持できるように予防対策を行って行ってください。
特に、一人暮らしをしている高齢者の方は、周りに環境を気遣ってくれる人が近くにいない場合が多いです。
近くに高齢者の方がいる場合は、互いに声を掛け合い熱中症を予防できるようにしていけると良いですね。
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