介護者にとって「毎日の食事」は、大事なものであり、日々の生活の中での楽しみでもあります。
体が思うように「動かず」食べたいものを自分で自由に食べることが、簡単ではない介護者にとって「美味しい食事」とは何でしょうか?
また介護従事者にとっては、忙しい時間の中で、家族以外の食事の支度はとても大変で、介護の中での「悩みの種」の一つにもなります。
ここでは、介護職の中でも「簡単・便利」ともいわれる、介護職のレトルトについて、その種類や利用方法、その「背景」や「問題点」をまとめてご紹介してみたいと思います。
介護食のレトルトは美味しい?
介護食とは「いったいどなもの」でしょうか?
食べる能力が弱くなってきた高齢者のみなさんは、若者とまったく同じものを食べるのが難しくなってきます。
介護食とは、「食べ物を噛む力」が低下してきて、噛み砕いたり、飲み込んだりすることが難しい介護者や高齢者のために作る、朝・昼・夜の3食のことです。
介護食はは専門的な用語で「形態調整食」とも言います。
ミキサー食(食物をミキサーなどにかけて、流動体にしたもの)、刻み食(食物をすりつぶし、裏ごし、または軽くミキサーにかけて、ペースト状にしたもの)
他に、トロミ・ゼリー食(片栗粉やくず粉、増粘剤でとろみを付けたり、ゼラチンなどでゲル状にしたもの)やソフト食(舌で食物を押しつぶせるような硬さに調理した食事)などが分類されます。
どれもが、介護者の健康を考え、「食べられない」という苦しみを緩和するために作られる食事です。
レトルトの介護食ってどんなもの?栄養やカロリーは?
ここでレトルトの介護食についてまとめてみました。
レトルトの食事は便利で簡単です。
介護食は「介護宅配サービス」という介護保険の中で利用されてもいます。
食べる介護者の健康を考え、主食・主菜・副菜をうまく組み合わせてお弁当にしたり、そのまま「湯せん」や電子レンジ調理などで「食べられる」介護食のレトルト食品もあります。
冷凍されていて「食べたいときに温められる」冷凍レトルトの介護食や、冷蔵庫で保存がきくソフト食・ムーズ食などもあり、近年では高齢者の増加により、そういったサービスを行う企業やメーカーなどが増えています。
栄養士の観点からカロリー計算をされたものがほとんど「主流」になってきていて、介護食のレトルト食品の中にはカロリー表示されたものが多く、必要な栄養とカロリーを時間の拘束も、負担もなく介護者の与えることができます。
レトルトの介護食はどこで買える?
レトルトの介護食は、今やネット市場で買える時代になりました。
通販大手会社のアマゾンや楽天サイトなどで、「介護食レトルト」または「レトルト介護食」と検索すると、画面いっぱいの様々な「形態の」レトルトの介護食の表示を見ることができます。
マヨネーズで有名な「キューピー食品」や、牛乳、乳製品の「明治乳業」など、他にも、介護サービスの中で利用される介護宅配弁当の種類など豊富になってきています。
またドラッグ・ストアや民間のスーパーでもバリエーションは少な目かもしれませんが、店頭に並び取り扱われています。
レトルトの介護食は美味しいの?
レトルト食品と聞くと、なんだか味気なくて、果たしてそれは「美味しいの」でしょうか?
簡単・便利であるレトルト食品。
愛情や時間をかけて手作りで食事を「作ってあげたい」という気持ちは、大切な人や両親などを介護し続けているみなさんは、だれもがお持ちだと思います。
しかし、今のレトルト介護食は管理栄養士が監修し、味付けなどしっかりしていて健常者が食べても食べやすく、「健康的で」「美味しいもの」が増えてきています。
人間には味覚があり、それは「何か」を食べることでしか感じることができません。
形があるものを口にれる、それは生きている人間にとって「自然な行為」でもあります。
噛んだり、飲み込んだりできない高齢者・介護者にとって、たとえレトルトでも甘味や辛味などが味覚として感じられ、ましてや自分が好きな「食べ物」を使ったレトルトの食事など、「食べる幸せ」をスパイスにできれば、レトルトの介護食でも私は「美味しい食事」と考えます。
レトルトの介護食を使用するメリット・デメリット
レトルトの介護食のメリット
レトルトの介護食について考えてみると、今までご紹介してきた中にもあったように「簡単・便利」です。
思ったよりも簡単に手に入れられて、食事を作る為にカロリー計算や、栄養を考えた献立作りなど、手間ひまかけなくてもいい、時間に縛られない、というメリットがあります。
今ではレトルト介護食の種類は豊富で、簡単に手に入りますし、介護者される側にとってもネットやテレビの情報の中で選べる「楽しさ」もあります。
大手企業メーカーなどでは「お試しサンプル」といって、無料でレトルトの介護食をサンプルとして消費者に提供している事例もあります。
介護する側にとっては、無料でサンプルが試食できるということは、ありがたいことですし、こんな経験もありました。
私の知人は、ある事情があって、ご主人のおばあちゃんを介護していました。
最初はきちんとした仕事に就いていたのですが、久しぶりに「再会」すると、「仕事を辞めた」と言います。
毎日の介護も大変だったみたいですが、食事の支度で悩み、買い物や家事・掃除など「やり抜く」つもりで頑張っていたのですが、とうとうもう限界を超えてしまい、介護者のおばあちゃんにそのストレスで言葉が乱暴になったりして、落ち込んでしまい仕事との両立を「あきらめた」という話でした。
しかし、しばらくたってその知人が、近くのスーパーで宅配レトルト弁当のサービスの「チラシ」を手に入れ、毎日は費用が掛かるので夕食と昼食のお弁当のサービスを週に3度利用するようになり、1週間の中で3日は「自分の時間」が持てるようになったため、パートで週に4日ぐらいに働けるように、気持ちが「落ち着いた」ということでした。
知人がレトルトの介護食を使用することで、自分の気持ちと「向き合う」ことができたのは本当に良かったことだと、その時感じました。
一つの食事を作るために「食べ物」を刻んだり、すりつぶしたりするのは、労力も根気も必要ですし、何よりも時間がかかります。
それを一日に朝昼夜の3食分と考えると、いかにレトルトの介護食を高齢者や介護者のために、食事に取り入れていくことが負担を軽くし、空いた時間をその他の介護や、介護従事者のリフレッシュや心身の休養につながります。
介護のストレスを「軽く」するそのことが、レトルトの介護食を使用する最大のメリットだと思います。
レトルトの介護食のデメリット
レトルトの介護食はあくまでも「出来合いの食事」です。
栄養や健康を考えて、製造されていても 、「家庭で作った手作りの食事」とは違います。
毎日の食事の中で「手作りのごはん」を内心望む介護者もいるかもしれません。
種類も、豊富で選べる便利さもありますが、普通に食事を作るよりもお金がかかります。
たまに利用するぐらいなら良いのですが、これが毎日だと費用がお高めのレトルトの介護食だけで家庭の家計を圧泊してししまうデメリットがあります。
介護する側からしてみれば「食べさなければならない」という使命感から、手軽で便利なレトルトの介護食を利用するケースも多いかもしれませんが、介護される側から見れば「またレトルトか、たまには手作りのものが食べたい」といったような気持ちのズレも生じてくることもあります。
それが原因で会話が少なくなったりすることもあります。
人間には「好みの味付け」というものがあります。
介護する側が、好きな味付けでも、介護者にとって「好む味付け」とは限りません。
レトルトの介護食は味付けが豊富で、美味しいものだと決めつけ、「本当に介護者が食べたいもの」を知らず知らずのうちに、見失ってしまうという「心のすれ違い」を起こす要因になる可能性もあります。
レトルトの介護食を選び方、おすすめは?
レトルトの介護食の選び方は?
ここまで、レトルトの介護食のご紹介をしてきました。
では、実際レトルトの介護食は「どうやって」選べばよいのでしょうか?
レトルトの介護食の情報は様々な方法で「手に入れる」ことが出来て、ネット検索や雑誌・口コミなど、選択や共有できる情報はたくさんあります。
しかしその選び方について皆さんは考えてみたことがあるのでしょうか?
安くておいしいものが一番だと考えられますが、本当に大切なものは「介護される側」の好む味付けや食べ物だと思います。
簡単で便利なものだからこそ、一度立ち止まって、介護者と「毎日の食事」について言葉を交わし、気持ちを伝えて介護する側にとってもされる側にとっても、日常生活を生きていくために必要な食事の在り方、使用方法を選んで「寄り添いあう」ことが重要なことなのです。
レトルトの介護食のおすすめはある?
レトルトの介護食についての評判について考えてみました。
ここでは、評判がよくおいしくて使いやすいものをご紹介させていただきます。
明治乳業 メイバランスミニ
1本125mlの少量で、200kcalのエネルギー、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維など体に必要な栄養素を効率良くおいしく摂取できます。
ドラッグストアなどでも販売されていて健常者の栄養補給にもなります。
いろんな味がありセット販売などネット通販で購入できます。
コーヒー、ストロベリー、ヨーグルト、バナナ、コーンスープ、抹茶、にあわせて、 新しく登場したヨーグルトテイストシリーズ4種類の白桃ヨーグルト、いちごヨーグルト、マスカットヨーグルト、ブルーベリーヨーグルトなど10種類の味わいから選べます。
エバースマイル 鶏とかぼちゃの煮物風ムース
かぼちゃとからだ温まる生姜とかぼちゃムースでさっぱり甘い、仕上げました。
鶏肉ムースのうまみがかつおと昆布の合わせだしでひき立っていて、かぼちゃ料理が簡単にご家庭でやさしい味付けで食べられます。
エバースマイル チキンのトマト煮風ムース
たまには、イタリアン料理といっても野菜を「柔らかく煮込む」のは時間がかかります。
このチキンのトマト煮風ムースはやさしくさっぱりとした味つけで、ほんのりバジル風味の味付けもしてあります。
和食や麺類などの介護食ばかりだと、食卓に華やかさがありません。
たまには洋食風レトルト介護食を利用されてみてはいかがでしょうか?
吉野家のやさしいごはん 【介護食】 牛丼の具 きざみタイプ
吉野家の牛丼といえば、かなり有名ですが、このレトルト介護食は牛肉を細かく刻んで製造されていて、味付けは「吉野家の牛丼」そのものです。
1食分が個別に包装されていて湯せんや電子レンジ調理で食べれます。
「あの味が食べたいなあ」といった介護者の要望に応えることができます。
キューピーやさしい献立 おじや 親子丼風
かつおと昆布をきかせただしでやわらかく煮た鶏肉と玉ねぎを、卵でふんわりとじた親子丼風のおじやで、味付けはマイルド、おじやなので飲み込みやすく食べやすい。
親子丼は鶏肉の調理が介護者が食べるために「やわらかく」煮込んだり、刻んだりしないといけないが、簡単に温められて食べられる
まとめ
ここでは、介護職の中でも「簡単・便利」ともいわれる、介護職のレトルトについてまとめてみました。
健常者であれば食べたいものを「好きな時に食べる」という行為はごく自然で、当たり前のことのようですが、介護される側にとっては、そのように自然に「ものを食べる・口に入れる・飲み込む」ということが大変むずかしく、介護期間が長くなればなるほど困難になってきます。
何もかも背負うのではなく、情報や口コミなどを生かし、介護する側される側にとって「大切なもの」はなにか?食事が寄り添うことは「心が寄り添う」ことでもあるのではないかと思います。
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